きもの(呉服)も、着用すれば汚れ、シミがつくことは避けられません。絹は特に構造上、吸水性に優れた繊維です。さらりとした肌触りはそのことに由来します。逆に汗など水溶性のシミや、ファンデーションなどの油性のシミがつきやすいともいえます。また蛋白繊維でもある絹は、黄変しやすい化学的性質をもっていて、褐色にまで変色が進むこと(黄褐変)があります。この原因は、蛋白質の成分であるアミノ酸のなかに、フェニルアラミンなどの特殊成分が含まれているためです。管理状態が良くなければ数年の内にタンスの中のきものが黄変することも。また、蛍光増白剤を使用した生地は紫外線をよく吸収するために絹の黄変を促進させます。黄褐変を防ぐには、紫外線に当てず、湿気の少ない乾燥状態で保存する必要があります。虫干しはカビを防ぐだけでなく生地の黄変も防ぎます。

  きものの代表的な染色法である友禅染は、染色の堅牢度についてはあまり考慮されていませんでした。友禅染は、衣料というよりも飾りを目的とした「衣裳」として発展してきた手工芸品です。染色が堅牢であることよりも、経済性を考えて染め替えが容易なように、脱色が出来ることが主眼でした。しかし、最近の消費生活の変化から、染め替えが出来ることを条件として友禅染品を購入する消費者はきわめて少なくなりました。また、洗い張りに出す消費者も減少しています。洗い張りは、きものを再生するには適した方法ですが、仕立て直しにかかる工賃を考えると、敬遠されがちです。

 そこで、注目をあつめているのが、「生き洗い(いきあらい)」です。仕立て上がりのまま全体をお手入れすることを「生き洗い」といいます。衿、袖口汚れや裾汚れなど局部的なしみ抜きはもちろんのこと、食べ汚し、色ヤケ、カビなどのしみ抜きすべてに対応いたします。当社では、伝統的な技法に加え、最新の技術を取り入れて、お手入れをいたします。一般に「生き洗い」というと、下落としをしたあと、ドライクリーニングの機械に入れて洗浄することをいいます。しかし当社ではひどい汚れ以外はドライクリーニングをさけています。手間はかかりますが、きもののことを考えてのことです。もちろん、当社にはきもの専用のドライクリーニング機を備えており、きれいな液で短時間で処理するようにしています。

 ドライクリーニングは、油性のしみ抜きには威力を発揮しますが、万能ではありません。変化シミや染料のシミなどは落とせません。すべてのシミに対応するには、染色補正という技術を必要とします。たとえば、染料のシミを落としたあと、地色を復元する「地直し」という作業がこれにあたります。また、仕上げ直しまで出来る業者は限られています。当社では和裁士の資格を持つ者が丁寧に仕上げをいたします。

 老舗百貨店をはじめとして、呉服専門店などと創業以来お取り引きをいただいていることからもわかるように、当社の技術には定評があります。あなた様の大切なお着物を安心してお任せください。





INDEX シミについて ご利用料金 ご案内